燃焼合成ってどんな技術?
燃焼合成は3000℃という高温の化学反応熱を有効に利用し、新素材を瞬間製造する方法です。天然には存在しない非酸化物セラミックスや、金属間化合物といった新しい材料を合成します。これらの材料は、医薬品・化粧品・食品や環境保護、地球温暖化防止など様々な分野に応用できるため、我々は豊かな未来を求めて積極的な研究開発を行っております。
燃焼合成セラミックス
燃焼合成は、様々な新素材を生み出します。一般的な酸化物セラミックスと異なり、炭化物や窒化物、ホウ化物、ケイ化物と呼ばれる特殊なファインセラミックスや、金属間化合物と呼ばれる耐熱・耐蝕性に優れた材料が秒単位で合成できます。これらの材料の特徴は、優れた電気伝導性や熱伝導性に加えて、空間が50%以上もある3次元スケルトン構造の多孔質となることです。このため、毛細管現象で水を吸い上げたり、熱をよく伝えるため高温加熱水蒸気発生装置に用いられます。また、多孔質体を投入した水は通常の水と比較して接触角が大きくなります。すなわち表面エネルギーが大きくなり、水の特性を変えることが可能です。これらは今後、革新的な医薬品や機能性食品など種々の分野で使われることが期待されています。

導電性
現在,材料として使われるセラミックスの大半は酸化物であり,その多くは半導体か絶縁体であるため,電気伝導性に優れたセラミックスはほとんど存在しない。炭化物(カーバイド),ホウ化物(ボライド),窒化物(ナイトライド)などの非酸化物セラミックスの最大の特性は,金属並の良好な「導電性」を有することである。
多孔質
セラミックス多孔質体は,気孔率が50%以上であり,平均細孔径が10~50ミクロンの連続した空孔を有している。製造方法として3000℃におよぶ高温反応を用いるため,高融点セラミックスの一部が溶融して,セラミック同士が融着した特異な3次元網目構造を示す。高温反応により滑らかな壁面を持つ細孔がつながる結果,多孔質セラミックスが優れた毛細管現象を示し,各種液体を高速で吸い上げるといった特性を発現する。
軽量・耐熱性・耐食性
セラミックスは金属等と比較して,耐熱性や耐食性・耐薬品性に優れた特性を有する。セラミックス多孔質体はTiC(炭化チタン)より構成され,切削加工に用いられるセラミックチップの主要構成成分となっていることからも分かるように,WCと並んで高硬度で優れた耐熱性を示す。密度は1.7g/cm3であり,金属Mgよりも軽い。これ以外にもホウ化物,窒化物などの非酸化物セラミックスは,酸化物セラミックスに無い優れた耐熱性・耐食性を有する新素材である。
容易な複合化・高機能化
セラミック多孔質体を作成する方法として燃焼合成を用いるため,様々な化合物や金属等を複合したセラミック多孔質体が作成できる。例えば,表面に可視光光触媒作用を示すTiO2-XNX層を有する多層TiCセラミック複合材料や,Cu・Au・Ptなどを分散したサーメット材料など多彩である。
非酸化物セラミックス
炭化物
TiC / ZrC / HfC / SiC
応用分野:切削工具、研磨剤、高温構造材料、高温ヒーター
ホウ化物
TiB2 / ZrB2 /HfB2 / NiB
応用分野:高温電極材料、耐熱保護管、導電ペースト
ケイ化物
MoSi2 / FeSi2 / CoSi2
応用分野:半導体センサー、高温ヒーター、温度センサー、熱電素子
窒化物
TiB2 / ZrB2 / HfB2 / NiB
応用分野:高温固体潤滑剤軸受材料、高熱伝導材料(IC放熱基板)、ガスタービン、ターボチャージャー、超伝導材料
金属間化合物
NiAl / TiAl / NiTi / Mo3Al
応用分野:マイクロガスタービン、金型、光ディスク反射膜用ターゲット、自動車排気ガス用触媒、ターボチャージャー、金型
形状記憶合金、次世代超高温用軽量材料
複合材料
窒化物セラミックス分散型
TiB2+TiN / SiC+Si3N4 / Si-Al-C-N / Mo5Si3+Si3N4
応用分野:ナノテク用超小型工具、切削工具、研磨剤、マイクロドリル、耐熱軽量構造材料、ジェットエンジン
サーメット
Cu+TiC / Cu+AlN / Cu+W+AlN / SUS+TiC
応用分野:無消耗電極、耐摩耗ヒートシンク、半導体レーザー放熱基板、耐熱腐食・耐摩耗用プラグ